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北浜M&A通信
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「選択と集中」のきっかけ
~大きな経営判断、その決断の背景にある様々な事情(第21回)

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 東日本と西日本で全く様相の異なった夏がようやく終わりを告げ、爽やかな秋がやってきました。芸術の秋、食欲の秋、収穫の秋、そして選挙の秋。皆さんは、秋と言えば何を連想されますか。

 学生時代、体育会ゴルフ部に所属していた私にとっては、スポーツの秋、とりわけゴルフの秋です。そう言いながら、恥ずかしいことに人生通じてアベレージゴルファーの域を一度も出たことがない私ですが、「ゴルフ場のM&A(企業合併・買収)」を通じて所属組織にもたらした報酬の総額は、中堅プロ選手の生涯獲得賞金を上回っているかもしれません。「下手の横好き」が幸いしたのか、これまで、数多くのゴルフ場の経営主体の移転に際してのお手伝いをさせていただきました。

 私がゴルフに明け暮れていたバブル期には、業歴の長い上場企業はほぼ例外なく企業グループを形成しており、子会社として大概、システム会社、給食会社、旅行代理店、保険代理店、そしてゴルフ場運営会社を有していました(私はこれを5点セットと名付けています)。以来30年、この5点セットをはじめとするグループ企業につき、「餅は餅屋」ということで、各業界の専業会社に売却をしていく流れができ(これがいわゆる「選択と集中」ですね)、M&Aの件数増加の一翼を担ったことは間違いありません。

 この5点セットの中で、ゴルフ場運営会社は、企業グループ内における重要度は高くはないのですが、業歴が長いゴルフ場では、高額の預託金債務がなく、営業キャッシュフローのマイナスに目をつぶっておれば、平時の企業グループとしては継続保有し得る事業です。
 
少し昔のことになりますが、私はある上場企業の役員に呼ばれました。グループのゴルフ場運営会社の売却を検討したいというのがその用件です。その役員は、経営企画担当に就任し、前任者たちが先送りしてきた問題に初めてメスを入れようというのです。
 
 偶々、ある事業会社オーナーの資産管理会社が近隣のゴルフ場運営会社取得に興味があることを知っていたので、話を持ちかけたところ譲受条件が出てきました。営業キャッシュフローがマイナスなので厳しい条件ではありましたが、相応に合理的なものと判断できましたので、両者の合意に向け推進していこうとした矢先、役員から「誠に申し訳ないが、相談役の反対に抗えず交渉を打ち切らざるを得ない」と。依頼者の意向が全てですからもちろん白紙に戻しました。
 
 それから5年後、その間に生じた赤字総額以上の減増資を行う(持参金をつける、と理解してください)、という出血を伴っての準大手ゴルフ場運営専業会社への会社売却の報が出ました。既に退任されていた役員からは、「相談役が引退されたことがきっかけとなったようだ、貴殿の提案と労が報われず申し訳なかった」とお言葉を頂きました。

 今年8月21日、二つのリリースがありました。江崎グリコ(2206)は平成30年末で創業者江崎利一氏の出身地にある佐賀工場の生産を終了させ、LIXILグループ(5938)は6年前に創業家の潮田議長が主導して買収したイタリアの建材子会社の株式を、損失を伴って中国企業に売却するというものです。

 共に、今後の環境変化を見据え、創業家への配慮より、経営の効率化を優先させる合理的な判断と思われますが、LIXILの売却事例については、「プロ経営者」として創業家より招聘された瀬戸社長が前任「プロ経営者」の拡大路線を転換する象徴、と言われており、「選択と集中」のきっかけ、として今後増えてくる形の一つといえましょう。
 
※連載20回を記念して、記事内容をゲーム感覚で振り返るクイズコーナーを設けています。ぜひトライしてみてください。
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