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北浜M&A通信
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「M&Aが成功した」は4割
~M&Aを実施した上場企業のホンネを調べてわかること(第8回)

 前2回(第6回第7回)にわたって北浜M&A通信では、M&Aに取り組んだところ結果的に高い買い物となり、「成功」と評価し難くなるケースを、「勝者の呪い」「サンクコスト(埋没費用)」「エージェンシー問題」「PMI(ポストマージャーインテグレーション)とのギャップ」等の例を挙げ説明してきました。

 今回は、実際にM&Aを実行した上場企業の経営幹部が自ら携わったM&Aについてどう考えているのかを、「実践M&A」講座において受講生に紹介・考察した「M&A Survey」を通して少し眺めてみたいと思います。(本稿にてご紹介することをご快諾いただいた株式会社KPMGFAS様には心より感謝申し上げます。)

 「M&A Survey」は、日本企業におけるM&Aの実態と今後注力すべき課題について考察するため、東京工業大学井上光太郎教授の協力の下で昨年5月に株式会社KPMGFASが発表した調査です。東証一部上場企業をはじめとした二千余社にアンケートを配布し、約一割の企業から回答が得られたとのことです。

 まずは、「(最も重要な)M&Aは成功したか?」ですが、「成功した」が39%、「どちらかというと成功した」を併せると77%です。世の中でよく言われる「M&Aが成功するのは三分の一ぐらい」というのに比べると若干高い感じでしょうか。

 M&Aの「成功」「失敗」を論じる場合、何を評価軸とするのかが重要です。この調査では「売上・収益の伸び」「事業計画の達成度合い」「利益水準」が上位三つとなりました。そういう意味では「いくらで買ったか」より、「買った後どうなったか」が評価軸になっているようです。では「いくらで買ったか」ですが、プレミアム(本来の価値よりどれだけ高く買ったかの割合)については、国内案件の場合は上場非上場を問わず「10%未満」が5割、「30%未満」が9割近く占めるのに対し、海外案件の場合は、「30%未満」が5割程度となり、「50%以上」も2割近く見られます。

 これについては、海外案件のほうが、他社との価格競争を意識した案件が多い(54%、国内案件では39%)傾向があり、個別案件の状況により異なるのでしょうが、やはり競争がプレミアムを生んでいることは間違いないようです。

 成功するためには「良い案件」との出会いが大事ですが、案件はどこから発案されたか、という問いには、国内案件では、外部アドバイザーからの持込み(44%)、次いで経営陣による発案(23%)、これに対し、海外案件では、事業部による発案(28%)、次いで本部による発案(23%)となっています。

 最後に、「M&Aの主な目的」を見ておきましょう。最も多いのは「コア事業の強化拡大」で国内海外とも5割を上回っています。次いで「新規ビジネスへの参入」(3割弱)「垂直統合(例えば、生産から開発(川上)や販売(川下)の工程を統合すること)によるコア事業の強化拡大」(約1割)と続きますが、注目すべきは「ターゲット企業をライバルに買われないための防衛的買収」が、国内で4%、海外で8%程度あることです。

 「M&A Survey」については、まだまだ興味深い情報が多数含まれていますが、紙幅が尽きてきたので別の機会に紹介するとして、「防衛的買収」の話をはじめとした譲り受ける側を中心としたM&Aの動機あれこれについて、次回お話を続けていきたいと思います。


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