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北浜M&A通信
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25年前の映画「プリティ・ウーマン」とM&A
~M&Aが一般化してきたことを象徴する映画だった!(第10回)

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 11月に入っても、リーグ優勝パレード、黒田投手の引退会見と、広島東洋カープのフィーバーは続いています。日本シリーズでは惜しくも敗れましたが、5球団を圧倒しての1991年以来25年ぶりのセ・リーグ制覇は見事でしたね。選手の皆様、ファンの皆様、お疲れ様でした。

 あちこちのメディアで、それに因んで1991年を振り返る企画記事が掲載されていましたが、「北浜M&A通信」でも当時を振り返ってみたいと思います。
この年の映画興行ランキング、「ターミネーター2」「ホーム・アローン」に次いで3位に入ったのが、「プリティ・ウーマン」です。終焉を迎えつつあったバブル景気の名残、という時代の空気の中で、CMでロイ・オービソン作のテーマ曲が何度も流れ、興行収入53億円、という数字以上のインパクトのあった作品でした。

 この作品については、現代版「マイ・フェアレディ」と宣伝され、リチャード・ギア演じるエドワードとジュリア・ロバーツ演じるビビアンのロマンティック・コメディという印象がとても強いのですが、実は、M&Aの視点から眺めるとこれまた面白いドラマなのです。

 エドワードは造船会社をLBO(レバレッジドバイアウト、買収先企業の資産もしくは将来収益を担保に資金調達を行う買収)スキームで買収し、切り売りすることを目論んでハリウッドにやってきました。投資家達から集めたお金を短期間で増やす、今で言うハゲタカファンドの経営者ですね。

 しかし、ビビアンと出会い、心を通わすことによって、この買収が「何かを生み出す」ことにつながらないこと、さらには、確執のあった父親の会社を乗っ取り、追い出して復讐を果たしたことをビジネスの原点にしている虚しさに気付かされたエドワードは、造船会社オーナーを追い詰めながらも、契約直前になって短期的な利益を追うことをやめ、友好的な業務提携で話をまとめます。

 自分の描いたシナリオ通りにならないM&Aアドバイザー(弁護士)フィリップはやり場のない怒りをビビアンにぶつけようとし、エドワードに殴られる、という非常に印象的なシーンがあるわけですが、十年来の相棒に契約直前の最終交渉の場で席を外させられた彼の心情を慮ると、また違った見方ができるかもしれません。なお、私を含む多くのM&Aアドバイザーは顧客の意向を最優先しますし、友好的なM&Aを目指して仕事をしておりますので念のため(笑)。
日本人が映画でM&Aや投資銀行業務に触れたのは、1988年の「ウォール街」が最初でしたが、ある意味「通好み」の作品でした。誰もが知っている映画でM&Aがテーマを構成したのは初めてに近く、また、ここまで述べてきたように、冷徹なマネーゲームではないハートウオーミングな印象を与える結末となっています。

 この年の国内企業が関与したM&Aの総件数は638件と2015年の約四分の一、さらに国内企業同士のM&Aに限れば310件と同五分の一以下(「レコフ」調べ)ということで、わが国にM&Aが根付くのはまだまだ先となりますが、M&A仲介専業会社が産声をあげ、都市銀行や大手証券でスタートした投資銀行業務が本格化していくのもこの頃だったのです。

 機会があれば、日本のM&Aの歴史にも触れていきますが、次回は、今年最後となりますので、今年を振り返ってみることとします。


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