お問い合わせ

tel.06-4706-2400(西はおまかせ)相談無料

Newspaper column

北浜M&A通信
北浜M&A通信

全ての記事を見る

2016年を振り返る①
~「AI」「自動運転」は、様々な業界の企業がしのぎを削るM&Aの主戦場(第11回)

<<前回
 早いもので、今年も残り1ヶ月を切りました。年の瀬の慌しさの中で、この一年の出来事が様々な切り口で振り返られるのもこの時期ならではの光景です。30のノミネート語から「2016新語・流行語大賞」も選ばれました。私個人としては、「AI」でしたね。小池都知事関連で若干概念が重なる4語も選ばれるのであれば、同様に、「AI」の派生概念である「IOT」や「自動運転」もノミネートされてよかったのでは、と思います。

 「自動運転」については、高齢者が行った操作ミスによる悲惨な事故が年末にかけて相次いだこともあり、ますますその開発が急がれます。そういった中、2016年RJCカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた日産セレナをはじめとして、「レベル2」(自動運転のレベルの定義で「加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態」)が実現され、いよいよ「レベル3」(同「加速・操舵・制動を全てシステムが行う状態」)が視野に入ってきました。そして、自動車、自動車部品メーカーは勿論、総合電機、制御機器メーカーやIT企業がここをターゲットとして、提携やM&Aを加速させる一年でした。

 パナソニック(6752)は、7月にドイツの組み込みソフトウエア開発会社を買収しました。この会社の活用によるマルチメディアと運転者支援の機能統合が自動運転実現へ前進につながる、とのことです。5月に、この分野で2年後を目処にM&Aで4000億程度の売上を取り込む、という構想を表明してからの第1号案件となります。しかしながら実は、一昨年、自動運転に必要な画像認識の中核部品となるミラーに強みを持つスペインの自動車部品メーカーを傘下に入れており、着々と布石を打っていたわけですね。

 一昨年に布石を打っていた、という意味では日本電産(6594)も同じです。ホンダ(7267)とNEC(6701)含む4社から株式を取得し、ホンダエレシスを完全子会社化していました。その後、自社のリソースも併せ、自動運転に必要な車載システム分野で優位に立っています。8月に、「買わなあかんと思っていた」米国エマソン社のモーター・ドライブ・発電機事業を、円高の絶妙のタイミングで買収したことが話題になりましたが、それを成し得たのは、他で打つべき手を着々と打ってきたからでしょう。

 自動車、自動車部品メーカーも負けてはいません。トヨタ系の自動車部品メーカーデンソー(6902)は、富士通テンの株式を筆頭株主富士通(6702)から取得し、同社を子会社とすることで基本合意したと9月に発表しました。電機メーカー子会社としての視点では、主力のカーナビ事業は、競争が激しく利益は出ていない会社です。しかしながら、同社は制御機器やレーダー等のソフトに強い技術者を多数擁しており、デンソーが持つ自動車向け同分野と融合させることができれば、自動運転に向けた技術開発を加速することができます。

 自動車部品業界でいえば、日産自動車(7201)は系列最大の自動車部品メーカーカルソニックカンセイ(7248)の株式を売却し、その資金で自動運転をはじめとする研究開発投資を行っていく、と先週正式に発表しました。アプローチ手法は異なりますが、これも一つの戦略ですね。

 今年一年ご愛読ありがとうございました。来年もさらに読者の方々に興味を持っていただけるようパワーアップして参る所存です。
次回 >>


最近の記事