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北浜M&A通信
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「元受講者とのミーティング」
~親の会社を継ぎたいと思うからこそ考える次の選択(第27回)

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 年にない厳しい寒さが続いた今年の冬もようやく終わりを告げ、春がやってきました。今年の桜はあっという間でしたね。同志社大学大学院も、新入生を迎え、また新しい一年が始まります。数多くある講座の中から、履修案内に掲載された「シラバス」に興味を持って、私が担当する「実践M&A」講座で一緒に学ぼうという意欲を持ったまだ見ぬ受講者との出会いが今から楽しみです。

 先日、3年前の受講者Aさんからご連絡をいただきました。MBA取得の要件としてこれから1年かけて作成する「ソリューションレポート」のテーマを「事業承継とM&A、それに伴う企業価値の最大化」にしようと思うので、大きな方向性を掴むためのブレインストーミングに付き合って欲しい、ということでした。私の講義をビジネス研究科「科目履修生」として受講された後「3年履修コース」に入学されたAさんは、来年1月にこのレポートを作成提出のうえ、口頭審査を受け、合格を目指します。

 「実はこの一年、自らが経営していた会社を譲渡する交渉と契約、クロージングを実体験しました。今後、M&Aに限らず、経営者としての経験を人に伝えていくために、知識を整理するための勉強をしようと思っています。」と受講に際して自己紹介されたAさんのことは大変印象に残っており、私からできるアドバイスをさせていただくとともに、改めてAさんのご経験をお伺いすることとしました。

 Aさんは、祖父が創業した会社の三代目の社長でした。祖父が早世した後、二代目の社長に就任したAさんの父親は、業績を伸ばします。その背中を追って大学在学中に入社したAさんは、約26年にわたり(最後の7年は会長と社長として)、父親と二人三脚でさらに業容を拡大していきます。その時代のことをAさんはこう振り返ります。一般に中堅中小企業経営者親子には、衝突や確執などが良くあると聞くが、Aさんは父親を尊敬し、父親はAさんに仕事を任せてくれる良い関係であったと。

 11年前に父親を亡くし、一人で舵取りをすることになったAさんは、その時点で、当時小学生だったご息女の成長を待って承継するのではなく、M&A手法で第三者に承継しよう、という大きな決断をします。以来、約6年、業績を伸ばす努力とともに、キーマンの育成や会社と個人の明確な分離など、譲り受ける側の立場を想定し、会社に磨きをかけていきます。満を持して、M&Aアドバイザーに依頼したAさんは、それからほどなく、ほぼ理想の相手とめぐり会い、約半年の交渉期間を経て株式譲渡に至ります。創業100周年にあたる翌年、会社は譲受側と合併しましたが、事業部にその名を残し、活躍する従業員とともにそのDNAを引き継いでいます。

 Aさんとのブレインストーミングでこんな話になりました。息子が、自分の継ぐべき会社を「正」と思うか、「負」と思うか。「正」と思ったAさんは、その「正」をより活かす方法として第三者への承継を選択したのではないか、そして、最終的な事業承継の判断は、そこをどう思うかで、息子がイニシアティブを持てば良いのではないか、と。「負」と思っても、それを「正」に向けて取り組む後継者もたくさんおられますし、大阪産業創造館が提唱している「ベンチャー型事業承継」がそれにあたるかもしれません。

 1時間半程度の短いミーティングでしたが、どうやら「ソリューションレポート」の青写真ができたようです。私もその完成を楽しみに、微力ながらお手伝いしていきたいと思います。
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