お問い合わせ

tel.06-4706-2400(西はおまかせ)相談無料

Newspaper column

北浜M&A通信
北浜M&A通信

全ての記事を見る

「海外企業M&Aでもおもてなし精神」ふたたび
~M&A最前線のゲストに支えていただき3年目を迎えた「北浜M&A通信」(第25回)

<<前回
 おかげさまで本コラムも3年目を迎えました。これからも、同志社大学大学院で私が担当する「実践M&A」講座でのお話、また、それに限らないM&A(企業合併・買収)にまつわるよもやま話をお届けしてまいります。

 「実践M&A」講座では、六つのテーマについてそれぞれの専門家をお呼びしています。同じテーマでも年度によって異なるゲスト講師をお招きすることもありますが、ちょうど2年前、本連載第1回でご紹介した「メーカーX社のM&A責任者のAさん」には、毎年欠かさずいらっしゃっていただいています。というのも、X社は、続々とM&A実施を発表し、Aさんにご紹介いただける情報が年々ボリュームアップしているからです。

 Aさん初登場のときのお話は、3年前米国企業を買収した際、なかなか進まない状況を打開するべく、相手企業のオーナー夫妻をお招きし、さまざまな「おもてなし」を行った結果、交渉が加速した、というものでした。海外企業とのM&Aであっても「気持ち」の部分が大きな意味を持つ、ということでしたね。

 昨年遂行したAさんのミッションは、欧州企業Z社が株式を100%保有する米国企業Y社の買収です。もともと日本では販売実績のなかったY社社長がX社事業部に向けた協業の提案に来日することを耳にしたAさんは、特定分野で世界3位のシェアを有するこの会社をM&A戦略担当としての買収対象企業として「リスト」に入れていたこともあり、Y社社長「おもてなし」の場に同席します。X社によるY社の株式取得による資本業務提携、というより深い協業の可能性を打診したところ、Y社社長からは「自分はオーナーではないので」と前置きがありながらも「良い話なのでは」という意見をもらえたそうです。

 とあるM&Aアドバイザーを通じたヒアリングでは、Z社にとってY社は主力事業に位置付けられるので株式売却の可能性はない、という情報を得ていましたが、「おもてなし」の場の会話に意を強くしたAさんは、X社事業部メンバーとZ社を訪問、結果として、交渉をスタートさせ、紆余(うよ)曲折はあったものの、最初の接触から1年に満たない短期間で、無事グループ会社化することに成功しました。
 
 M&Aを戦略的に行っていくためには、リストアップとそのアップデートが重要で、対象企業もしくはその株主がコンペティターであっても先入観を持って排除しなければ、巡ってくるチャンスを生かすことができる、とAさんは語っています。

 Aさんは、このY社が属する事業領域において、4社の買収に関与されています。国内・海外、上場・非上場、それぞれですが、共通しているのは結果として最終的に株式を100%保有し、完全子会社としていることです。上場企業を完全子会社にするプロセスは、国・地域によって制度が異なり、工夫が必要な場合もあることも学んだ後、最後に、昨年X社が別の事業領域で行ったM&Aの話をされました。こちらに対しては、少数出資と役員1名の派遣にとどめています。まずはX社の社風に染めず、シリコンバレーベンチャーの風土を生かし自由に展開してもらうのが良いという判断です。事業領域と対象企業の特性を考慮し、多様なスキームの中からベストな展開を模索する、この当たり前のことの重要さを受講者はかみ締めていました。

 次回は、事業承継経験を生かして活躍しているゲスト講師のお話を紹介します。


最近の記事