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北浜M&A通信
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「M&Aアドバイザリービジネスへの参入者」
~業界の現在未来を考えるにあたって過去を振り返る(第33回)

 前回に続いて、日本国内のM&A(企業合併・買収)アドバイザリービジネス(以下「M&Aビジネス」)をリサーチする外国の投資家とのテレカンファレンスを受けたお話。続いての質問は、「M&Aビジネスが拡大しているならば、そこに注目して参入者が増えると考えるが、その点についてどう思うか」というものです。

 参入者を考えるに当たって、あらためて日本のM&Aビジネスのプレーヤーの変遷を振り返ってみましょう。M&Aビジネスは1980年代前半、「投資銀行」という考え方が日本の金融業界に持ち込まれてきた時からスタートします。それまでのM&Aのほとんどの担い手は国策として行う「通産省」「大蔵省」や、グループの融資先に責任を持つ「メインバンク」であったため、ビジネスと言えるものではありませんでした。

 現在のようにM&Aが経営戦略として一般的でなかった時代、一部の都市銀行や大手証券は、バブル経済を背景にしたジャパンマネーの力で海外の企業を買収する日本企業の水先案内人となり、M&Aビジネスを形にしていきます。バブル崩壊やそれに続く金融危機において、破綻(はたん)企業の再生プロセスを取り込む形で、金融機関自らが経営統合や破綻に巻き込まれる中、そこにいながら、あるいはそこから独立した金融マンが「M&Aビジネスのプロ」をもって任じていたわけです。

 2008年にリーマン・ショックが起こります。好況時には買収ニーズが高まり、不況時には売却ニーズが高まるM&Aビジネスは、好不況に中立なビジネスと思われていましたが、多くの事業会社の業績の激変で、価値の算定合意が困難となり、取引がペンディングとなる事例が多発し、従来型のM&Aビジネスには大きな逆風が吹きました。そんな中、その数年前から認識され始めた「事業承継問題」において、M&Aがこの問題を解決する有力なツールであることにいち早く気付いたいくつかの独立系M&A仲介業者が、事業承継問題が顕在化している、あるいは、潜在的に有している企業オーナーに、組織力やマーケティング力でアプローチする手法を確立し、M&Aビジネスの主導権を握ります。

 そうです。前回ご紹介した上場三社はこの典型ですね。その後のWEBマーケティング技術の進化も相まって、まったく同様のビジネスモデルでのさまざまな業界からの参入があります。ついには、事業売却により得た利潤を投下する元企業オーナーも現れました。そろそろマーケットの拡大以上の競争激化、すなわち淘汰(とうた)の時代が到来しているのかもしれません。

 そんな中、昨年あたりから、新しい参入者が現れました。それは、複数の人材関連企業です。自らがM&Aビジネスを行う、というより、事業譲受を希望する企業の情報を集めたサイトを作り、譲渡を希望するオーナーの情報を持つM&Aアドバイザーに活用してもらい、譲受を実現させた企業から利用料を受け取る、というのが今の基本的な姿です。事業開始前にヒアリングを受け、専門家として私見を述べさせていただいたことを参考にされたかどうか分かりませんが、結果として、譲受企業の発掘に専念されています。

 譲渡対象案件が増加し、企業の戦略が多様化する中、従来の常識にとらわれない譲受候補企業の真のニーズをつかむ事は、適切なM&Aマッチングを増加させる重要なことです。緒についたばかりで、情報量も少なく、まだ私も活用に至っておりませんが、経営の最重要課題を解決する人材関連企業であるが故に可能な取り組みが本格化していくことは、M&Aビジネスの拡大につながるものだといえましょう。


次回>>11月1日更新予定


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