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北浜M&A通信
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「壊れたおもちゃ」が輝きを取り戻すために
~ボディメイクの幻想がとけたあと、必要なこととは(第35回)

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 RIZAPグループ(2928・札幌ア)の株価が先月15日から2営業日連続ストップ安となりました。14日取引終了後発表の連結業績予想が大幅に下方修正され、無配に転落したことが嫌気されたものでした。しかも下方修正の理由が、買収した企業の業績が芳しくないことに留まらず、未確定の買収企業の「負ののれん」を利益予想に織り込んでいたところ、M&Aを凍結する経営判断をしたので、それらが実現しないことが確定したから、というあまり聞いたことのない理由に、市場が厳しい評価を下した、ということのようです。

 RIZAPについては、本コラム第19回(昨年8月4日付)「和製アマゾン?」で、私なりの感覚をお伝えしました。掲載後、「譲受の豊富な実績を持つRIZAPを批判するような内容を掲載するとは、M&Aアドバイザーとして商売感覚がないね」とか、「三谷さんが依頼を受けている譲渡案件を、RIZAPに買収可能性を打診したいが、そういう拘りを持つ以上無理ですよね。(はい、すいません。拘りは関係なく、その譲渡案件においては、シナジーが全く期待できないと思います。)」と提携している同業者から言われたりしてきました。私としては、テレビでお話した内容を簡単にまとめただけだったのですが、結果として、最近発行されている経済誌等での論評に近い内容になっていました。

 ここでは、少し別の切り口から見てみたいと思います。実は、RIZAPは業績予想修正発表前の14日の取引中にも前日比約15%の下げを記録しています。グループの数社が13日の取引終了後に、「業績予想の下方修正」や「特別損失の発生」を発表したことで、ある程度本体の業績不芳を予見されたのでしょうが、これらのことは全く初めてのことではありません。

 私が注目したのは、13日取引終了後の、子会社SDエンタテイメント(4650・JQ)が売上の約半分を占める「GAME・ボウリング・シネマ事業」を、会社分割手法を用いて、地元のファンドに売却する基本合意をした、というリリースです。取得してきた80を超える企業や事業につき、「全てシナジーが生まれ、順調に推移しているから売却することはない」というスタンスが変更された瞬間に、RIZAPのM&Aによるボディメイクの幻想がとけたのではないか、と見ています。

 30日に株式譲渡契約を締結した詳報が出ましたが、残念ながら譲渡価格は非開示でした。いずれにせよ、この会社が有する57億余の有利子負債の大幅な削減にはつながらず、効果は限定的なようです。

 構造改革担当の松本晃代表取締役は、譲受してきた企業の一部を「修繕すべきおもちゃ箱の壊れたおもちゃ」だと例えました。その言葉を私は残念に思いました。取得された対象事業はそれぞれに人材や販路、ブランドなどの経営資源を有しています。

 「負ののれん」やそれが生み出す会計上の利益に目がくらみ、シナジーや経営ノウハウが乏しいままに、結果的に本来の企業価値より高値で買収したことが問題なのであり、本当の意味でシナジーある譲受先とのM&Aが成立すれば、少なからぬ企業が輝きを取り戻す可能性はあります。

 おそらく、その際の取引価格はシビアなものとなるでしょうから、RIZAPがその売却に伴い甘受しなければならない損失に耐えられるのか、「自ら修繕する」という名の下に問題先送りするのではないか、という問題は残ります。報じられているように「本業は順調」なのであれば、M&Aアドバイザーの活躍する場面はきっとあります。

次回>>1月11日付を予定


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