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北浜M&A通信
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新語・流行語大賞『忖度』
~「忖度」からM&Aアドバイザーの心得を考えてみます(第23回)

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  早いもので、今年も残り1ヶ月を切りました。昨年に引き続きまして、「2017新語・流行語大賞」に絡めまして、一年を振り返りたいと思います。前回取り上げた「人生100年時代」も含めノミネートされた30の言葉から選ばれた大賞は、「インスタ映え」と「忖度」でした。
 
 ということで、今回は「忖度」のお話。いろいろなところで言われていますが、「忖度」というのは、「他人の心を推し量る」という意味だけで、「その上で何かを配慮する」という意味は現在の辞書にはありません。2000年代に入ってから、テレビ番組や新聞等の報道内容が政権に配慮した内容になるケースで、そういったニュアンスで使われ始め、森友学園の前理事長が国会の証人喚問の際に使ったことで一躍脚光を浴びました。大阪府松井知事の「良い忖度と悪い忖度がある」発言が拍車をかけたのかもしれません。
 
 その後一気に、「意思決定システムの中で、本来であれば是々非々で判断しなければならないところで、「こんなことをするとトップや上司が気を悪くする可能性がある」など、論理性合理性以外の要素が入ってしまう場合に、「忖度」が多用されるようになりました。言葉は移ろいゆくものであり「新語・流行語大賞」ですから、新しい用例が加わった「忖度」もノミネートされたのでしょう。ちょうど前々回(第21回)の本連載「選択と集中のきっかけ」でお伝えしたグループ会社売却のきっかけは、まさにこの新しい用例の「忖度」の必要がなくなったとき、というお話ですね。

 M&Aアドバイザーの世界でも似た話があります。アドバイザーのサービス形態は大きく分けて二つあります。両当事者の間に立って、双方から中立的な立場で助言する「仲介」。当事者のいずれか一方の立場から助言する「FA」。私の会社では、それぞれのメリット・デメリットをきちんとご説明し、お客様に選んでいただいた上で、その業務特性に十分注意してサービスを提供しています。
 
 大手銀行や監査法人系コンサルティング会社のアドバイザーは専らに「FA」サービスを提供します。その理由のひとつは、中立的な立場を守り続けなければならない「仲介」という進め方についての、逸脱の結果生じ得るリスクを企業として容認できないからです。一方で、そのリスクより双方から報酬を得ることを重視し、選択肢なく顧客を誘導する「M&A仲介会社」が少なくないため、中堅中小企業の事業承継型のM&Aにおいては、「仲介」がその多数を占めています。

 中立的な立場を守り続けるのは難しいことです。「忖度」になぞらえれば、顧客の心を推し量ることは大事ですが、そこで主体的に調整を仕掛けた時点で逸脱してしまいます。仲介者に求められることは、当事者の意向を伝え、当事者がそれを示しきれない場合には心を推し量り、相手方に伝えることまでです。調整をするのは両当事者です。

 ともすれば、「M&A仲介会社」に属する、リスクや厳密性を理解していない社員が、勇み足で、逸脱した調整を図ろうとします。その状況を耳にした顧問弁護士、顧問税理士が、「ちーがーうーだーろー!」と私に意見を求めて来られるため、その案件が「炎上○○」にならないようお手伝いするようになった結果として、私の会社では、第三のサービス「セカンドオピニオンサービス」を依頼者ファーストの立場で提供しています。

 今年一年ご愛読ありがとうございました。連載3年目となる来年も、さらに読者の方々に興味を持っていただけるようパワーアップして参る所存です。
 
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